ハ行で笑うばいきんまん

アニメ「それいけ!アンパンマン」で流れた歌の情報を掲載している非公式のファンサイトです。
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読みはぎょうでわらうばいきんまん
表記ゆれ
  • ハぎょうで笑うばいきんまん
  • ハ行でわらうばいきんまん
  • ハぎょうでわらうばいきんまん
作詞
作曲
  • 宮崎尚志
カテゴリ
登場人物

説明

映画『恐竜ノッシーの大冒険』の挿入歌。
要するにばいきんまんの笑い声「ハヒフヘホー!」の歌である。

意外といい歌なんじゃないかという考察

この歌、“個性を尊び、楽しく強く生きよう”という歌なのではないかと思うのだ。
以下、歌詞について詳細に考察する。必要に応じて歌詞掲載サイトを参照するなり実際の歌を聞くなりして確かめて欲しい。なお、引用部分は原則として『ハ行で笑うばいきんまん』が出典となるのは明らかなので、出典を明記するのは「ハ行で笑うばいきんまん」以外の場合に限ることとする*1

まず、いきなり「ハハハハハハハ、ハヒフヘホー!」というばいきんまん独特の笑い声から歌は始まる。
他の誰もがしないような笑い声で高らかに笑ってみせることで、たった一言、言葉にもならないような言葉だけで、早くも“個性を尊び、楽しく強く生きよう”というテーマが現れているのだ。
そして笑い終わると「ハ行で笑う粋な奴」と自信満々に言い放つ。
言うまでもなく、先ほどの笑い声とそれにこめられた思いを宣言しているわけだ。
「ハ行で笑う」というのは一例に過ぎず、自分の個性を最も端的に表す行為であれば良い。
これは、自分の個性を堂々と表せるのは粋なことだと言っているわけである。

この後、「俺の名前を聞くだけで泣く子も黙るばいきんまん」と続く。
もちろん、恐ろしさに身がすくんで声が出なくなっているわけではない。笑っている者の名前を恐れる理由などないからだ。
やきそばパンマン流れ旅』で「泣く子も笑う」という一節があるように、『ハ行で笑うばいきんまん』においても泣くことを忘れてしまうほど良いことがあるのだろう。
そのことを裏付けるかのように、「渇いた心で高笑い」と続く。
泣く子に向かって“もう泣くんじゃない。俺様みたいに笑ってみるんだ”と言っているのだろう。
ここから更に続く「涙なんかはバイバイキーン」もほぼ同じことを主張しているように見えるが、単に“泣くな”と言っているわけではない*2
「バイバイキーン」というのは「さようなら」という意味であり、別れを意味するが、別れというのは近くから遠くへ去るということである。
つまり、“涙と別れる”というのは、涙を体内から体外に出すこと、すなわち“泣く”ということだ。
「涙なんかはバイバイキーン」は、“泣くな”ではなく、逆に“泣け”と言っているわけだ。
そもそも、「泣く子も黙る」には、その子が泣いていなければならない。つまり、その子にとって泣きたいことがあったということだ。
それに対して“泣くな”と言って笑いを押し付ければ行き場のなくなった悲しみがその子をますます追い詰めるだろう。
だからこそ、“泣いていないで笑おうよ。でも泣いていいよ”という意味のことを言っていたわけである。

そして1番の最後を締めくくるのは「俺は正義の敵なんだ」である。
この言葉を素直に受け止めるならばばいきんまんは“正義に対する敵”、すなわち単なる悪者だが、これまでの歌詞の流れから見て、そんなことはあり得ないと分かるはずだ。
この部分は2番にも3番にも共通して存在している、非常に重要な言葉なのだ。
さて、この言葉の真意を読み解くため、実例として『とんかつ姫とキャベツマン』を取り上げ、「正義の敵」について考えてみよう。
とんかつ姫は失礼なほど人のことを笑う少女であり、キャベツマンはプライドが高すぎてキャベツ以外の食べ物を認められない。
この二人が出会えば喧嘩になるのは必然だろう。
そんなとき、“正義の味方”たるアンパンマンが登場し、喧嘩をやめるよう促す。
実に直接的で素直な方法だが、もちろんそんなことで仲直りできるようならば最初から喧嘩などしていない。
そこへやってくるのがばいきんまんであり、とんかつ姫たちを襲う。
危険な状況下で二人は協力し、アンパンマンを助けて共にばいきんまんを撃退する。
そして戦いが終わった後、共通の目的を持って共に戦った二人は仲直りするのだった。
お分かりだろうか。ばいきんまんは二人の前に敵として現れ、二人の味方のアンパンマンだけではできなかったことをやってのけたのだ。*3
ばいきんまんは二人の共通の敵として現れることで、二人が協力し合うことを余儀なくさせた。
そう。“正義の敵”とは、“敵という形で実現される正義”だったのだ。もちろんアンパンマンの“正義の味方”は、“味方という形で実現される正義”だ。
なお、喧嘩する二人をばいきんまんがこのような形で仲裁する話は、『とんかつ姫とキャベツマン』に限ったことでないことを念のため付け加えておく。

続いて2番では、「ハ行で笑う俺様はハートの中まで真っ黒け」と言っている。
もちろん、これは心臓が物理的、光学的に黒いという意味ではない。
ご存知の通り、ばいきんまんの特徴は“黒いこと”である。そして、心の中までも黒いと言っているわけだ。
すなわち、外面と内面が同じく黒いということだ*4
ばいきんまんの外面が黒いということが分かりきっていることを考えると、この部分は“内面も外面と同じく黒い”ということではなく、“外面が黒いのは内面の黒さを表している”という意味だろう。
つまり、自分の内面を、本当の自分を隠さずにさらけ出そうということだ。

そして、「悪魔も逃げるばいきんまん」である。ここがどうも不思議だ。
アンパンマンシリーズには、私の知る限り“悪魔”はいなかったはずだ*5
逃げるべき“悪魔”が元々存在しない、これが何を意味するのか。
歌詞を文字通りに解釈すると“悪魔すら逃げ出してしまうほど恐ろしい。悪魔でない人々にとってはもっと恐ろしい”となるが、そもそもその前提となる悪魔がいないのだ。
つまり、「悪魔も逃げるばいきんまん」であるにもかかわらず、悪魔は逃げない。逃げることは決してない。
逃げる悪魔がいないなら、他の人々にとっても逃げる必然性はない。
どうにもはっきりしないが、「悪魔も逃げるばいきんまん」は少なくとも“悪魔より悪い圧倒的な悪人”を意味するわけではなさそうだ。

続く「愛と正義が何なんだ」はもちろん“愛と正義って何なのだろう”と問い直しているのである。
“愛と正義”をまっすぐに貫き通すアンパンマンと戦うばいきんまんにとっても、やはり“愛と正義”は永遠のテーマなのだ。
これを“愛と正義”の否定と捉えると、同じ理屈で『アンパンマンのマーチ』における「何のために生まれて何をして生きるのか」は“生まれてくるなよ。死ね”という意味になってしまうだろう。*6

更にここから「おりこうぶるなよバイバイキーン」と続く。
もちろんこれは、“悪ぶれ”と言っているわけではない。当然“おりこうであってはいけない”と言っているわけでもない。
悪いなら無理に着飾っておりこうぶらなくても良い。本当におりこうならそのままおりこうであって良い。
つまり、“ありのままの自分でいて欲しい”という意味なのだ。

3番は原点に返り、「ハ行で笑う、ハ・ヒ・フ・ヘホ!」と始まる。
そう、“個性を尊び、楽しく強く生きよう”ということなのだ。もっとも大切なことは。
特に3番は、“人それぞれ個性はあるけれど、みんながお互いの個性を必要としていて、その根底にある心は同じだ”という内容である。

続く言葉は「光と影のこの世なら、影の王様ばいきんまん」だ。
“影”というものは“光”が物にさえぎられてできるものである。この点で光がないことを意味する“闇”とは根本的に異なる。
つまり、“影”は“光”なくしては存在し得ない。
そして、“光”は物に当たって始めてその存在が確認される。“光”は物に当たるということは、“光”が遮られ、“影”ができるということだ。
“影”は“光”なくしては存在し得ず、“光”は“影”が生まれることで初めて意味を成す。
よく言われることではあるが、“光”と“影”は表裏一体であり、どちらも欠かせないものなのだ。
ここでばいきんまんは「影の王様」である。
つまり、誰よりも“光”を必要としている。誰よりも強い光によって生きている。
“光”が誰のことかは、考える必要は無いだろう。本来誰であっても良いのだから。
ばいきんまんの“影”、強烈な個性は、“光”という言葉で表現される、他人の個性により成り立っている。
そして“光”という他人の個性もまた、ばいきんまんの“影”という個性により成り立っている。
それぞれの個性は、お互いの個性を必要としているのだ。

3番の歌詞の最後は「ほんとの心の真ん中はみんなおんなじバイバイキーン」である。*7
ばいきんまんが悪者だという認識だけで聞いていると意味を勘違いしてしまいそうだが、今ならばこの言葉の真意も分かるというものだ。
正義だとか悪だとか、考え方でいろいろ分かれてはいるけれど、その根底にある考え方は共通しているよ、と、そういうことを意味しているのだ。
つまり、表面上の“心”はみんな違うけれど、本当はみんなお互いに理解しあえるということなのだ。

そして、この歌の最後の最後を締めくくるのは、「ハヒフヘホー!」である。すなわち、これが結論である。
1番は“自分の個性に自信を持つこと”
2番は“本当の自分を隠さないこと”
3番は“お互いに理解しあうこと”
を歌っており、全体としては“個性を尊び、楽しく強く生きよう”というテーマになっているのだ。

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  • イントロの音が好きです!(チャボ 2019-07-09 18:20:57)

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